【続】酔いしれる情緒
その後、泣き出しそうになりながらもスグに橋本さんの誘いに乗った。
「よろしくお願いします」と簡単な返事。
そんな中、橋本さんはとても優しい顔をして笑ってくれたのを覚えています。
「じゃあここからが本題。」
「(さっきのが本題じゃないんだ…)」
「キミにはマネージャーになってもらいたい」
「え…マネージャー、ですか?」
「そうだ。あれだけ機敏に動けたらマネージャーとしても器用にやってくれるだろうと思って」
「えと……それは橋本さんの?」
「いいや?私じゃないよ」
橋本さんの一人称が「俺」から「私」に変わり、口調も元通りになった。
「もう少しで来ると思うが…」
そう言って時計をチラリと見た後、橋本さんが予測していた通り、この社長室のドアが開いて。
「あ、いた。橋本さん」
「遅いな。撮影伸びたか?」
「うん。ちょっとトラブって。」
スラリと高い身長に、ふわふわと綺麗な髪。
まるで彫刻のような顔立ちに────
「─────で。この人が新しいマネージャーさん?」
色素の薄い、綺麗な瞳。
その瞳が私に向いた途端、さっきまで落ち着いていた鼓動がまた速さを増した。