【続】酔いしれる情緒
心のどこかに不安が広がり、ちらりと春を見た。
目が合うと、意外にも、変わらずの笑みを浮かべてくる。
そして空いてる手で私の頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ。」
「それって…」
「もう来ないし、来させないから安心して」
春の強い口調、意味深な言葉が私の言葉を遮るように被さる。
瞳が、視線が、真っ直ぐ私を貫くから
「…………分かった」
従うように頷いた。
気になる点はもちろんあるけれど、春がこれ以上この話をしたくないんだと感じたから。
私の返答に春は固かった表情を和らげる。
そして持っていたタブレットをキッチンカウンターの上に伏せると、そこに手をついて少し前のめりの体勢で私の顔を覗き込んだ。
「凛、明後日仕事何時まで?」
「明後日は……休み、だったかな。」
「ほんと!?」
「たぶんだけど」
「俺も1日休み」
ニコニコと、満面の笑みを見せて
周りに音符が散らばっているかのような
とても嬉しそうに彼は言う。
「デートしよっか!」