【続】酔いしれる情緒
チュッと軽く唇同士が触れては一旦離れ、また触れ合う。
はじめのうちは軽いものだったのに
「…っ……」
流されてるうちにお互いの舌が絡み合っていた。
甘い痺れで頭がクラクラする。
こんなこと………絶対ダメなのに
…嫌じゃないなんて。
何度も何度も繰り返され、力の抜けた私の腰を春が抱き寄せた。
私は春に縋り付くみたいに服をぎゅっと掴む。
外からは再び声が聞こえるけど
私は足りなくなった酸素を取り込むのに必死で内容が耳に入って来ることはなくて。
「いないね〜。帰っちゃったのかな?」
「会えた人いいなー。
私も『イチカちゃん』みたかった〜」
「……………はる?」
春の顔が突然我に返ったみたいに目を丸くさせるから私は呼吸が乱れたまま名前を呼んだ。
目は合ってる。だけど、意識はどこか違うところに向いているかのような。