【続】酔いしれる情緒


「最近推しのグループができたんすよ!
そのグループのデビュー曲なんすけど知らないっすか?」

「知らない」

「そうっすよね〜 安藤さんテレビ観ない主義だし。まあでも、今日ちょうど音楽番組あるんすけど、それに出てるんで俺の推しグループ。一回観たら絶対沼落ちするんで後日一緒に良さを語り合いましょう!!」

「(興味無いなぁ…)」



………てなわけで。



(あ。)



夕飯の準備が終わり、時計を見た時
今日の会話を思い出した私。


慎二くんの言っていた音楽番組は20時からだと言っていた。


そしてちょうど今、20時。



「今日のご飯も美味しそ〜」



準備が出来たのと同時に春はいつもの席に座り、私も同様、向かい合うように腰掛ける。


そして二人同時に手を合わし、夕食を食べ進めた。



「ねえ、テレビつけていい?」

「うん。いいよ」



念の為許可をもらってテレビをつける。


何チャンネルだっけ。確か…えーと。



「珍しいね。何か見たい番組でもあるの?」

「音楽番組。しん……バイトの子に今日推しグループが出るから観てほしいって言われたの」



春に慎二くんのことを名前呼びするなと前に言われたから律儀にも守っている私。

まあ、いつもこうやって言いかけてしまうんだけど。
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