【続】酔いしれる情緒


(……決めた。そうしよう。)



今日はそれで会話をする。絶対に。


少しばかり心が軽くなって、足取りもなんだか軽くなった気がする。

そして本日最後の客であろう人がレジにやって来ていつも通りに対応しようとした。が。



「……安藤?」

「え?」

「安藤だよな?」



レジカウンターを挟んで向こうから、少し前のめりになって私の前の名前を呼ぶこの人。


え、なに、なんで名前知ってんの?
こわっ。誰。ストーカー?


なんて思っていることが顔に出ていたのか、

その人はちょっと焦った顔を見せて



「俺のこと覚えてない?
ほら、一緒に図書委員やってた…!」

「図書委員………あ。もしかして佐藤くん?」

「そう!正解!!」



ニカッと笑顔を見せるスーツ姿のこの人。


まさかのまさか。高3の頃一緒に図書委員をしていた佐藤くんだった。


びっくりした……
だってあれから何年?

まさか今になって高校の同級生と再会するとは。
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