【続】酔いしれる情緒
「なんか……久しぶりだね」
「ほんとに!びっくりした!似てるなと思ってつい声掛けちゃったんだけど合ってて良かった〜」
そういう佐藤くんもあの頃と変わらず爽やかで、大人になった今でも笑顔がとても良く似合う人だ。
「ここで働いてんの?」
「うん。学生の頃からずっとここで」
「へぇ〜、そっかそっか。
安藤はあの頃と変わらず本が好きなんだな」
その言葉に私もふわりと笑ってみせる。
「うん、大好き。大人になった今でもずっと」
「ふーん…」
「佐藤くんは?今何してるの?」
「俺は見ての通りサラリーマンだよ。
似合わないスーツを毎日着て働いてる」
「えぇ、全然そんなことないよ。似合ってる」
「いいって、気遣わなくて!同僚にも毎日言われるし。お前スーツ似合わねーなーって」
「わざわざ毎日言わなくてもいいのにね」
「それ安藤から言ってよ」
「私関係ないじゃん」
なんだか高校生の頃に戻ったかのような、他愛もない話で盛り上がる私達。
久しぶりに再会したにも関わらず緊張は全くなくて、本当に図書委員として働いていたあの頃のようにケラケラと笑って喋る感じがまた懐かしい。
「安藤さん。久々の再会に盛り上がるのは分かるけど、まだ仕事中だからね」
「あ、すみません」
こうやって注意されることも、あの頃と全く同じでまた笑ってしまう。
あの頃もよく先生に注意されたっけ。