【続】酔いしれる情緒
その後、私達は普段通りに夕食を食べ、会話をした。
今日の出来事、同級生の佐藤くんの話。
それから同窓会があるということも。
止められると思っていたけど……意外とそんなことなくて。
「久々だし私も参加しようと思ってて…」
「いいじゃん。行っておいでよ。」
拗ねることもごねることもなく、簡単に許可がおりた。
その事に私はホッとするよりも
「遅くなるかもだけど、いいの?」
「うん」
「ご飯は?どーするの?」
「そんなのどうとでもなるよ。
外食するし、簡単なものなら作れるし。
あと俺1日食べなくても平気なタイプだから」
「だったらその時間までには…」
「凛」
春の少し大きな声。
それにより発言が途中で止められる。
「俺のことは気にしなくていいから、存分に楽しんでおいで?」
「………………」
そう言われてしまえば返す言葉が見当たらなくなって……私は小さく頷いた。
春は緩く笑うと夕食を食べ進めていく。
(…………なんか)
いつも通りに作ったつもりなのに、今日のご飯はどこか味気なく感じる。
「…美味しい?」
「うん!美味しいよ」
けど、春はいつもみたいに笑顔でそう言う。
嘘偽りない笑顔で。
(味覚……おかしくなったのかな)
同じ物を食べているのに
(美味しくない)
そう思ってしまったから。