【続】酔いしれる情緒


「なっ…?!そういうのじゃないって…!」

「だって佐藤くん分かりやすいんだもん。」



そのまま友達は私の左手をとると、佐藤くんの前に掲げた。



「ほら、見て。薬指の指輪。」

「っ…!」

「凛、そういうことだよね?」

「……うん。」



コクリ。頷いてみせる。


結婚したという証を今日は忘れずに付けてきた私。

今日は絶対に付け忘れちゃダメな気がして、
昨日から外さずにずっと付けているそれは



「結婚…してたのか……」



佐藤くんからの好意を遠回しに遠ざけるためでもある。


分かりやすくテンションが下がった佐藤くんを見てホッと安心した。



(やっぱり…)



私に好意があったんだと、何かが起こる前に気づけて良かったと思う。



このまま、何もなく、諦めてほしい。


春以外の好意なんて────いらないから。
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