無意識ストレイト
高島くんの言う通り、私はここにきた意味あったのだろうか……。
そのくらいすぐに決まっちゃって、アクセサリーっていうのもありきたりすぎる案だし、本当にこれで良かったのかな。
でもこの時間が長く続かなくてよかった、なんて思ってる自分がいたりして。
久々に彼方くんと話せて嬉しい感情と、どうしたって叶わない感情を突きつけられる空虚な感情。
「鈴野、本当にありがとな。お礼はまた真悠にネタバラシした後にでもするから!」
とびきりの笑顔で言った彼方くんは重そうなバッグを軽々持って、私と高島くんを置いて教室から出て行った。
バレー部の彼方くんはきっとこれから部活なんだろう。
一回見たことがある、彼方くんがバレーをやってる姿はかっこよかったなぁ……。
なんて。彼方くんがいなくなってもまだ彼のことを考えてしまう。
この空き教室にいたのは10分くらいで台風のように過ぎ去っていった。
まだまだだ。どうしてこんなにも君を忘れられないんだろう。
素直に……真悠の誕生日プレゼントの相談をされて笑えるのは、いつ?
「……鈴野」
後ろから、私を呼ぶ声がする。
今この場にいるのは、彼方くんではない。
振り返った私に、高島くんは困ったように笑う。