無意識ストレイト



好きな人が同じ、なんて思わなくて……その時私は精一杯の笑顔で「おめでとう」って言って。



誤魔化せたとは思っているけど、実際はどうなんだろうか。



それを聞くことも絶対にないけれど。



「葉月ぃ!まーーた聞いてない!」


「ごめんごめん、彼方くんがかっこよかったんでしょ?」


「そうだけど!そうだけど絶対聞いてないじゃんかその言い方!」


「ごめんってー」



大好きな彼氏の話をする親友はきっと世界で1番可愛くて、そんな彼女に私は自然に笑えているだろうか。




今でもまだ、片隅に彼方くんがいる。

真悠にも言えないまま、私はまだ彼方くんを見てしまう。



いちばんになりたいなんて、そんなふうに思わないから、だから。


まだもう少しだけ、この想いに浸らせてほしいんだ。





< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop