無意識ストレイト
好きな人が同じ、なんて思わなくて……その時私は精一杯の笑顔で「おめでとう」って言って。
誤魔化せたとは思っているけど、実際はどうなんだろうか。
それを聞くことも絶対にないけれど。
「葉月ぃ!まーーた聞いてない!」
「ごめんごめん、彼方くんがかっこよかったんでしょ?」
「そうだけど!そうだけど絶対聞いてないじゃんかその言い方!」
「ごめんってー」
大好きな彼氏の話をする親友はきっと世界で1番可愛くて、そんな彼女に私は自然に笑えているだろうか。
今でもまだ、片隅に彼方くんがいる。
真悠にも言えないまま、私はまだ彼方くんを見てしまう。
いちばんになりたいなんて、そんなふうに思わないから、だから。
まだもう少しだけ、この想いに浸らせてほしいんだ。