好きよりも、キスをして
「(楽しみを見つけるって、大事なんだなぁ。今まで沼田くんの言動をいちいち気にしていたけど、今は全然気にならない。静之くんが私と関わってくれてるおかげだな)」
もちろん、静之くんへの仕返しだけが、私の「楽しみ」ではない。静之くんと過ごす夢の中は、驚きの連続だけど、でも……嫌な事ばかりじゃない。
学校で喋れない分、夢の中で静之くんと喋ることが出来てるのが、素直に嬉しかった。
「(誰かと話すって、大事なことなんだな)」
今まで気にもしてなかったけど、静之くんと話すようになって「話す力」という、目に見えない力を感じる。
静之くんと話すと、楽しい。ばかりじゃなくて、生き甲斐が増えてる気がする。学校が楽しみに思えてきている。
今朝も、久しぶりに「登校したい」って思えた。これは、静之くんナシでは、考えられないことだ。