好きよりも、キスをして

心当たりがない。素直に聞いてみようか、よし――と心を決めた時。


「お前、いつまで俺と付き合うんだよ?」と、静之くんが真剣に尋ねて来た。



「え、いつまでって……どういう事?」

「付き合うからには、期限があんだろ。しかも、こんな行き当たりばったりの付き合いなら、猶更な。俺らの恋人ごっこの終わりはいつなんだって、そう言ってんだよ」

「(終わり……そうか)」



その時、ハッとした。静之くんが、私との未来を描いていないことに。

もちろん、私だって未来はまだ見えない。将来の旦那様、なんて事も思ってない。

だけど、これから静之くんの事を知っていきたいって。もっと深く知れたらって。そう思ったのは事実だから……。



「(私たち、正反対の事を思っていたんだね)」



私が先を見ている横で、静之くんが終わりを見ている事実が、なんとなく寂しかった。

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