好きよりも、キスをして


「お前、締まらない奴だなぁ」



ハハハと笑う静之くん。ほら、こういう子供っぽさ全開で笑う姿も、今日初めて知ることが出来た。

そして、静之くんの初めてを知ることが出来て、喜んでいる私が、ここにいる。



「あはは、あーおかしー」

「笑ってくれて結構です……。私の考えを言っただけ、だから」

「ん、分かってるって」



目の端をちょいと指で掬う静之くん。涙が出たのかな?私の言った事が面白過ぎて?笑い過ぎて涙が出た?



「(私……)」



そんなに子供っぽいことを言ってしまったかな?でも、夢物語を言ったわけじゃないんだけどな。



きちんと伝わってるよね?私の想い――



不安になっていると、静之くんは「笑ったわ。でも」とマグカップから目を移して私を見た。

その目はとても優しくて、慈愛に満ちた漆黒で――私の心臓が、僅かに刺激されるのを感じた。



「お前の言ってることは幸せしかねぇな。理想過ぎて笑えてくる。

でもな――

俺は好きだぜ。お前のそういう真っすぐなところ」


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