好きよりも、キスをして
逃げるしかない。私が動くしかない。私を守れるのは私だけ――!
なんて思っていると。
ひょいと、軽い力で静之くんにお姫様抱っこをされてしまった。
「お、お姫さま、!?」
「お姫様だっこな。こーゆーの、女子は好きだろ?」
「(確かに憧れだけど、今はやめてほしかった……!)」
パニックになる私を無視し、静之くんは「じゃあ隣の部屋に行くか」と歩き出した。
「へ?隣の部屋?」
「そーそー。お前気づかなかったの?
この世界、今日は扉が増えててな。開けたら、なんとベッドがあったんだよ」
「へー!」
え?