好きよりも、キスをして
「(今日は、本当に色々あった……)」
青いノート。ジュース、キス。
そして――枝垂坂さん。
「(あ)」
自分で思い出して、ハッとする。
そうだ、枝垂坂産との事で、思いついた私の疑問。それをまだ、静之くんに答えて貰っていない。
「静之くん」
答えを聞くべく、静之くんの方を向こうとした、その時だった。
ギュッ
突然、背後から抱きしめられる。
あまりに突拍子もない行動に、ビックリして眠気も吹っ飛んでしまった。
「ど、どうしたの?静之くん……?」
静かな部屋に、ドキドキとうるさいくらい早鐘を打ち付けている私の心臓。
どうか音が漏れませんようにと願う私の横で、小さな声で静之くんが喋り始めた。
その内容は、今まさに、私が尋ねようとしていた質問。
どうして静之くんはいつもニコニコしているのか――という疑問だった。