好きよりも、キスをして

「(今日は、本当に色々あった……)」



青いノート。ジュース、キス。

そして――枝垂坂さん。



「(あ)」



自分で思い出して、ハッとする。

そうだ、枝垂坂産との事で、思いついた私の疑問。それをまだ、静之くんに答えて貰っていない。



「静之くん」



答えを聞くべく、静之くんの方を向こうとした、その時だった。



ギュッ



突然、背後から抱きしめられる。

あまりに突拍子もない行動に、ビックリして眠気も吹っ飛んでしまった。



「ど、どうしたの?静之くん……?」



静かな部屋に、ドキドキとうるさいくらい早鐘を打ち付けている私の心臓。

どうか音が漏れませんようにと願う私の横で、小さな声で静之くんが喋り始めた。


その内容は、今まさに、私が尋ねようとしていた質問。



どうして静之くんはいつもニコニコしているのか――という疑問だった。


< 132 / 282 >

この作品をシェア

pagetop