好きよりも、キスをして


帰り道――――川が流れているのを見ると落ち着くかなと思って、遠回りをして橋の上にやってきた。

確かに、夕日を反射する川はキラキラ光って綺麗だし、水の音にも癒される。


だけど……


私の胸に刺さった沼田のくんのナイフは、外れそうにない。スポっと外れて、あの川のように流れてくれない。

いつまでも、私を傷つけている。



「はぁ、最悪……」



最悪なのは、皆の前だというのに私を注意した先生か。
キツイ言葉で私を責めた沼田くんか。
誰も私を助けてくれなかった皆か――


いや、違う。



「悪いのは、全部……私」



私以外の、何者でもない。

私が私でなければ、教室の中は……いや、世界の全てが上手く回るような気がした。



「水、綺麗だなぁ……。いつか私も綺麗に、なれるかな?」




少しだけ前のめりになって、川の中を見る。


すると、突然。

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