好きよりも、キスをして

「俺はさ、澤田の事が気になってたんだよね」

「え……」



ビックリ発言に驚いて沼田くんを見る。すると仄かに染まった私の顔を見て、沼田くんも焦って否定した。



「ち、違うから!好きって意味じゃないから!何勘違いしてるの、自意識過剰すぎ!」

「な!」



だったら紛らわしい言い方しないでよね!と言いたかったけど、確かにすぐに恋愛の方へ変換した私も悪い。

大人しく、沼田くんの言葉の続きを待った。



「こいつ喋れるのに、なんでいつも黙ってんだろうって不思議だったんだ。興味というか、不思議生命体に寄せる好奇心って表現する方が近いかな」

「不思議生命体……」

「でも観察してると、うざいくらいに喋らないし、そのせいで俺は授業中よく当てられるし。間違った答えを言うのも恥ずかしいから、必死に勉強したらテストの点数よくなってるし、順位がめちゃくちゃ上がってるし」

「……」



結果的にいい事なのでは――と口を挟みたいのを、必死で我慢した。

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