好きよりも、キスをして
ガラッ
沼田くんと話していると、いつの間にか授業は始まっていたらしく。
始まりのチャイムの音なんて全然気づかなった私は、授業が終わった休憩時間に、沼田くんと教室に戻った。
案の定――私を目にした皆は、キッと強く睨む。私を、憎んでいるかのような目で。
いや、実際は憎んでいるのかな。だって、クラスのマドンナだもんね。枝垂坂さんは。
そんな彼女を間接的にでも傷つけた私は、皆から見たら完璧に悪者だ。
「(でも、憂鬱だな……)」
この教室に、これから一年間。ずっと通わないといけないのか。嫌だ、憂鬱すぎる。
「(もう、いっそ投げ出して。逃げてしまおうか。登校拒否になろうか。別に逃げたっていいんだし)」
そんな事を考えていた時だった。
私と皆の間を、一人の体が遮った。