好きよりも、キスをして
怒った気持ちと、悲しい気持ちと、切ない気持ちと。もうグチャグチャで、何が私の本当の気持ちなのか、分からない。
ただ、静之くんには分かってほしかった。私の気持ちを。
「(あぁ、上手くいかないなぁ……)」
自分の気持ちを伝えて、それで終わりにしようって。そう思ってただけなのに。
「ごめんな、ありがとう」って、そう言ってもらえたら、私はそれだけで満足だったのに。
「(どうしてなの……?)」
どうして、こうも上手くいかないんだろう。
二人共、喋れる口があるのに。言葉を交わせるのに……。どうして理解し合えないのかな。
脱力して、抵抗していた手をダランと床へ投げる。静之くんは、まだ私から降りる気はないようで、尚も私を組み敷いていた。