好きよりも、キスをして
「……沼田と付き合ってんのかよ?」
「だから、付き合ってない」
「じゃあ、俺とは?」
「え……」
変な質問だった。静之くんが、何を考えているか、全く分からない。
けど、いい機会だ。私の気持ちを、伝えよう――
「静之くんとは付き合ってる。今は。
だけど、今日で終わり。私たちの関係は、ここまで」
「!!」
言い終わった瞬間。
静之くんがカッと目を開いて、私に顔を近づける。そして何の躊躇もなく。静之くんの唇で、私の唇を塞いだ。
いつか、明るい外でしたような、激しいキスだ。息も忘れ、何かを考える事も、忘れていく。
その行動が。まるで静之くんが、私に何かを忘れてほしそうに思えた。だけど私は、その「何か」をくみ取る事は出来ない。
「んぅッ、や……め、てっ」
「嫌だ、やめない」
「ん……っ!」