好きよりも、キスをして
私の予想は当たっている、と思う。だけど、違和感もある。それは、窓から見える外の景色。
既にカーテンがされていて見えないけど、雑に閉められているから隙間から外の色が見えた。
外の色は、黒。
つまり――夜。
「(外は真っ暗……今は四月なのに?夜の7時前でも、まだ明るいはず。
え、今は何時なの?)」
部屋の中を見ると、時計がない。
そうか、一人暮らしだからスマホ一台あれば、それで充分なのかもしれない。「いま何時?」って静之くんに聞こう。
と思って開けた口を、しっかり閉じる。
今まで自分がいつどこにいるのか?って事しか気にしてなかったけど……。
静之くん本人を改めて見ると、なんか変だ。
何が……ってハッキリはしないけど……あえて言葉にするなら、雰囲気。
授業中に盗み見た静之くんや、私と沼田くんの間に入ってくれた静之くんは、穏やかそのものだった。柔らかい雰囲気で、真面目で、誠実そうな……。
だけど、正反対なのが、いま目の前にいる静之くんだ。