好きよりも、キスをして
静之くん、今、あなたは喋れるでしょ?
じゃあ喋ってよ。
今、私にキスをしている理由を、あなたの口から聞かせてよ。
「うっ……ん…!」
「俺はお前が、嫌いだ。俺の事、何も分かってないくせに」
そう言いながら――
私の頭を撫でながら、指をからませながら。まるで愛しい恋人にするように、静之くんは私にキスをし続けた。
何度も唇を優しくなでられ、何度も愛おしそうな瞳で見つめられ。
私の頭は、時間が経過するごとに。混乱と、快楽に落ちていく。
「(嫌いって言っておいて。なんでそんな悲しそうな顔で、こんなキスするの……っ)」
静之くん。私、あなたが好きだよ。そして、大嫌い。
もう終わる恋って分かっているのに。私の中で、静之くんへの好きを加速させるあなたが、大嫌いだ。