好きよりも、キスをして


別に静之くんのせいじゃない。分かっている。私が皆に弁解を求めないのが悪いんだ。どうせ言っても信じてもらえないから、言わないだけ。

最初から諦めている私のせい。


だから、静之くんのせいじゃない。絶対に。



「もうさ、気にしなければいいじゃん。私も、気にしてないし。学校では見ないで。私のこと」

「彼女のする発言じゃねーな」

「うん。いいんだ。だって、もう”彼女役”も終わりだから」

「……」



静之くんは、それから何も言わなくなった。しばらく考える素振りをして、何か言うのかと思いきや。何も言わなかった。

ただギュッと、私を抱きしめる力を強くしただけ。

それだけ。


なのに――



「(泣くな、私。泣くな……っ)」



静之くんを、もうこんなに身近に感じる事はないのかと思うと、涙が出てくる。これで最後。今日で最後。そう思うと、涙が溢れて止まらない。


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