好きよりも、キスをして
「なぁ、緋色って何色だと思う?」
「んー。灰色?緋色がそんなイメージだから」
「お前は、俺をどんなダークな奴だと思ってんだよ」
「ごめんごめん」と軽く謝る私に、緋色はため息交じりに呟いた。
「赤だよ、お前と同じ」
「私と、同じ?」
「朱音の朱は、朱色(しゅいろ)の朱だろ。俺と同じ、赤だ」
「そっか……緋色と同じか」
「微妙に違うけどな。まあ大体は、一緒ってことだよ」
少し、嬉しくなった。まさか共通点があるなんて。
だけど、緋色は「けど、おかしーなぁ」と自嘲めいて笑う。