好きよりも、キスをして



――俺はお前が、嫌いだ。俺の事、何も分かってないくせに



緋色、どうしてそんな事を言うの?

私、緋色の何を知らないの?



――緋色は「何か」から逃げたいの?

――!



あの時、どうして「図星」みたいな顔をしたの?

教えて、緋色。
私まだ、緋色の事を、全て理解できてないから。

全てを知りたい。
あなたの、全てを――




ブー




「……あ、さ」



目を開ける。

そこには、涙を流した私が、ただ自分の部屋で横になっているだけだった。



「緋色……っ」



今、何となく分かってしまった。もう夢の中で緋色には会えない。

二人きりで話す事は出来ない。

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