好きよりも、キスをして


「あ、のさ……」

「あ?」



未だ玄関に立ち尽くす私。ここは頑張るところだと、思い切って声を出す。

そして――



「告白、してくれて……ありがとう。こんな私の事を、好きになってくれて……嬉しかった。

だけど、その……ごめん。私、静之くんとは、付き合えない……。本当に、ごめんなさい」



よく、言えたと思う。沼田くんに負けず劣らずの迫力がある今の静之くんに、よくぞここまで言えたと思う。自分で自分を褒めたい。

私もその気になれば声を出せるんだ――と妙に嬉しくなっていた私。

ルンルン気分が漏れないようにと、早くこの場を退散しようと体の向きを変えようとした。



だけど、その時。



私は聞いてしまった、見てしまった。



「う……っわ…………」



スマホの画面を見て、ガクリと項垂れる静之くんを。


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