好きよりも、キスをして
「……」
グサッと。言葉というナイフが、私にどんどん刺さっていくのを感じた。枝垂坂さんの容姿は、正直まったく羨ましくない。そりゃ可愛いし綺麗だけど、それだけ。私は、彼女になりたいとは思わない。
だけど――緋色の隣にいれることだけは、すごく羨ましい。心から。
変わってほしい。私だって緋色と喋りたい。一緒に笑い合いたい。
もう、それが出来ないと知ってから、余計にそう思うようになった。楽しい思い出を二人で作れないかと思うと、余計に。
「(けど、緋色がそれを望んでないんだから……どのみち、無理か)」
「うわ、見て。ため息ついたよ」
「本当~あからさま過ぎ」
「自分が一番被害者ですってアピール?」
今日も、この陰口をバックサウンドにして。一日を過ごさないといけないのか――
そう憂鬱になりながら、鞄の整理をした。カバンから出した教科書やノートを、机の中に移動させる。
だけど、