好きよりも、キスをして
私がノートの、真ん中のページの方に書いた「仕返し」という言葉はそのままだ。
ペンでグチャグチャに上から塗られているわけでもない。消しゴムで消されているわけでもない。
ただ、ノートが戻ってきただけ?そうなのかな?
焦る気持ち。落胆する気持ち。期待する気持ち。全ての気持ちを総動員した私の手が、先を急いだ。
すると――
「(これ……は……?)」
最後のページに近い箇所で。見つけた。
ノートの右ページ。下の方に、小さな字で書いてある。
一言でもない。一文字でもない。
冒頭に「同じ赤を持つ君へ」と書かれている。
それは間違いなく、緋色から私への手紙だった。
「(緋色……っ!)」