好きよりも、キスをして
カサッ
手紙は、読み終わった。ノートを静かに閉じる。
このノートには、確かに、緋色の気持ちが全て入っている。
だからこそ、
「(燃やせるわけないじゃん、ばーか……っ)」
胸にノートを抱きしめる。
そうすることで、少しでも緋色を近くに感じる気がした。
「(緋色、好きだったよ、緋色……。ありがとう)」
大好き――この気持ちは、やっぱり消せない。すぐに消せるわけない。私の力で消せるものじゃない。
時間が消してくれるだろうか。私の中の赤い炎が、いつか、緋色への思いも消してくれるだろうか。
「(いや……いいんだ。消えなくたって)」
それが私なんだから。緋色を好きな気持ちを含めて、私なんだから。