好きよりも、キスをして
俺と沼田は、静かに教室を出る。そして、ここなら誰も来ないという場所まで移動した。
そこは屋上へ続く道。少し暗がりの踊り場。日の当たらない、ひんやりとした独特の空気が、俺の肌を鋭く叩いた気がした。
だけど反対に、沼田から感じるのは熱気だった。言い換えると、俺への怒気。
俺に対し怒っているのだと――すぐに分かった。
「単刀直入に言うけどさ、枝垂坂のこと、どう思ってんの?」
「(どうって?)」
「毎日毎日、枝垂坂にべたべた触られて。俺は、静之が本気で枝垂坂を好きとは思えない」
「(……)」
「付き合ってるの?枝垂坂と」
「(違う)」
すぐに答えた俺を見て、沼田は「やっぱりね」と腕組みをする。そして鼻息荒く、俺を見た。