好きよりも、キスをして
「まず、この状況なんだけど。ここ、現実じゃねーから。夢なんだよ。俺とお前の」
「は?ゆ、夢?」
「そー夢」
夢?夢って……寝る時に見る夢だよね?え、でも、どういう事?私、さっきまで橋から川を眺めてたんだよ?
だけど静之くんは私の疑問にはいちいち答えてはくれないのか、夢の話もそこそこに、次の話題へ移る。
「告白なんだけどよ……その、悪ぃ。間違えた」
「……は?」
「お前に送るはずじゃなかったんだ……連絡先、一行ズレてたわ。ほんと悪ぃ」
「……」
頭が真っ白になるっていうのは、この事なんだろうか……。理解できそうで、理解できなくて……。
いや、そもそも。
ここが夢だろうと何だろうと、間違って告白をしてきた静之くんに、マジトーンで返事をした私。
その事実が、ただ恥ずかしくって……。「うん……」と頷いたきり、微動だに動けずにいた。