好きよりも、キスをして
「(朱音)」
「ん?」
「(好き)」
「……ん、私も。緋色が大好き」
照れた顔で「やっと言えた」と涙ぐむ朱音。可愛らしくて、見ていて飽きなくて。
俺への愛を、その小さな体でずっと叫んでくれているようで、愛しくて仕方がない。
そんな彼女のひたむきな姿を見て、心に決める。
俺もまた、違う一歩を踏み出そうと。
二人重なる影を見ながら、強く強く、そう思うのだった。
緋色 side end