好きよりも、キスをして
「緋色、ちょっと待って!」
「(ダメ、待てない)」
「でも、待って!緋色!!」
今まで一方的に引っ張られていた腕を、強引に振りほどく。
すると緋色はハッとしたように我に返り「(ごめん)」とジェスチャーを添えて謝ってきた。素直に謝るなんて珍しい――と思いながら、どうしてこうなっているのかを再確認する私。
「(なんで私たち、押し問答してるんだっけ……。あぁ、そうそう)」
私たちは想いを再確認した後。
目立ちすぎる学校を足早に後にして、学校から離れた公園にやって来た。
夕方に近い事もあって、学校終わりの小学生が、元気にサッカーをしているのが目立つ。割と大きな公園で、公園に沿って大きな樹が植えられていた。
緑の葉で生い茂っている木の傍に、私を引っ張って連れて来た緋色。そして、なんと。
人目をはばからずに顔を近づけて来たので「ストップ!」と声を上げた次第なのだ。