好きよりも、キスをして


けど、さっきの私は拒絶しすぎた。

緋色を見ると、少し落ち込んでいるのか「(なぁ)」と私に話しかける目が、どこか寂し気だ。



「(キス……ダメなのかよ?)」

「そりゃ私だって。だけど……いくら木の陰に隠れてるからって、ダメ。目立つから、ダメ……っ」

「(でもさー)」



明らかに不満げな顔をした緋色は、私と一歩距離をとってから、自身のスマホを触る。そして早く指を動かして、文字を打った。


そのスマホの画面が私に向いた時、思わず「うっ」と声が出てしまった。


なぜなら、そこに打たれてあった文章は、私にとって都合が悪かったからだ。


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