好きよりも、キスをして


「ご両親、何か言われてた?」

「(うん。やっぱり怒られた。”だから無理はするなって言ったのに”って。

でも”挑戦してみて初めて得られることもあるから、貴重な経験が出来て良かったな”とも言われたよ)」

「そっか。素敵なご両親だね」

「(今度、朱音にも紹介する。俺の彼女って、両親にも朱音を知っていてほしいし)」

「え!」



思ってもみなかった言葉に、嬉しさで心臓が飛び上がる。

緋色、私とのこと、本当に本気で思ってくれてるんだ。大切にしてくれてるんだって……。それが幸せで、幸せ過ぎて……。


思わず、泣きそうになった。


すると、ちょうど下駄箱にたどり着く。涙ぐんでいる私を見て、緋色は複雑な顔をした。


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