好きよりも、キスをして
「(退学の事、勝手に決めてごめん。朱音から離れてごめん。寂しいよな……)」
「え、や、違くて……。これは、その……うれし涙!」
言葉が悪かったのか、緋色は「(俺と離れるのが嬉しいって事かよ)」とショックを受けているようだった。「違うちがう!」と慌てて否定する。
「緋色の隣を歩けるのが嬉しい。今も、これからも――
緋色、ありがとう。大好きだよ」
「(……)」
「あ、あれ……?」
喜んでくれるかなーと思ったけど、思ったよりも緋色の反応は薄くて。顔を見ると、なにやら曇っていて。
何を考えているか分からなくて、すぐに尋ねる。