好きよりも、キスをして


結局――私が昨日どうやって帰ってきたかっていうのを、お母さんから知りたかったけど、私も急いでいたし、お母さんも出勤時間でバタバタしていたしで、聞く暇はなかった。

謎に謎を詰めたパンパンの頭で、教室のドアを開ける。



ガラッ



すると既に隣の席の沼田くんが登校していて、一時間目からある小テストの勉強をしていた。


沼田くんは、見た目こそ怖いけど根は真面目らしい。そう言えば、小テストを交換して丸つけをする時も、いつもいい点数だったなぁ。

私は、というと……そこそこ。平均ど真ん中。たまに下回る時もあるけど。

そんな事を考えていると、沼田くんとバチッと目が合った。一応、ペコリとお辞儀をする。すると――

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