好きよりも、キスをして
今まで沼田くんを見ていて気づかなった。けど、教室の奥へ目をやると、静之くんがいた。そしてジッと、私を見ている。
「(静之くん……!)」
彼を意識した途端――脳は沼田くんではなく、静之くんへと切り替わる。そうだ、私。静之くんに聞きたいことが、たくさんあるんだった!
静之くんに駆け寄ろうとした私に、当の本人は驚いた顔をする。そして「待て」と言わんばかりに、指を揃えて手のひらを私に向けた。
ピタリと大人しく止まった私に、静之くんは明らかに安心した顔をした。そして、私から視線を外し、スマホへ目を向ける。
行き場のなくなった私の足を、どう引っ込めようかと悩む。すると、ブブと私のスマホが振動した。
見ると、静之くんからのメールだった。
突っ立ったままというのもアレだから、席に座ってメールを開く。
開く前に、変にドキドキしちゃって……周りや後ろに、誰もいない事を、何度も確認してから画面をタップした。
そこまで努力して、開いたメールの内容。
それは――