好きよりも、キスをして
「で、何から聞きたい?」
と言われてから少し。
私と静之くんは現在、小さなローテーブルを挟んで、コーヒーを飲んでいる。
「(味覚はある。熱さも感じる……。本当に夢?)」
静之くんは、ここを夢と言っていた。だけど、夢にしては、あまりにもリアル。
それは、今口にしているコーヒーしかり。目の前にいる静之くんしかり。
「なんだよ?ジロジロ見て」
「(……フルフル)」
首を横に振って”見ていない”と伝える。いや、見てたけど……。咄嗟にウソをついてしまった。
「(だって、静之くんを見てると面白いんだもん……)」
ここで言う私の「面白い」とは、静之くんの言動のことだ。