好きよりも、キスをして
反対に静之くんは「あぁ」と、軽い相槌で返す。
「世界っつーか。前も言ったろ。ここは夢だ。俺とお前の夢の中だ」
「同じ夢を……見てるって、こと?」
「そーそー。夢を共有してんだよ」
「共有……?」
説明を聞いても理解できていない私に、静之くんは「ラジオ」を例えに、砕いた説明をしてくれる。
「ラジオを聴く時、聞きずらい局があるだろ?そうしたらチューニングするだろ。で、バシッと合う局で止まるだろ?俺と澤田は、それなんだよ」
「つまり……ラジオ局ってこと?」
「……」
静之くんに、苦虫を嚙み潰したような顔で見られる。私の答えは、どうやら違うらしい……。
「ちげーよ。だから、バシッと俺と澤田の波長が合ってるってこと。チューニングできてんだよ。俺とお前の夢が。だから、何の苦労もなく、ここ(夢)に来れるだろ?」
「(確かに……)」
さっきも、目をつぶっただけで、夢に来られた。眠る前に、既に意識がこっちへ来ていた。