好きよりも、キスをして
そして昼休み――
当然のことながらぼっち飯を食べている私。
有難いことに、毎日母がお弁当を作ってくれている。いつか朝早く起きて自分で作ってみよう、と思った事は何度かある。けど、それが実行に移せた日は一度だってなかった。
明日こそは、明日こそは――
魔法の呪文みたいに、毎日、毎日。せっせと呟いた。だけど、やっぱり叶えられた事はなくて。
きっと両親も、こういう私の「頑張らない性格」と見越して、早々に諦めたんだろうな。私が「喋らない」事を。
「(だけど……)」
静之くんに対しては、自分でも驚くくらいに「話したい」と思える。そんな自分がいる事に、午前中の全ての授業を上の空で聞いて気づいた。
「(静之くんの事を、もっと知りたいな……)」