好きよりも、キスをして

「ひとはだ……脱ぐ……?」

「彼女になって。あの告白メールは、お前に送ったって事で」

「彼女……それって、」



付き合うって、そういう事?

そう尋ねると、静之くんは、端正な顔を崩さず頷いた。「……」絶句する私。


だけど――


ありえない話をされているのに、静之くんを見ると、ふいに胸が鳴ってしまう。

イケメンは……ズルい。色々と。常識の垣根を、こうも簡単に越えてしまうから。


私は「いけない・間違ってる」と思った。そう思ったのに、口が滑らかに「いいよ」と動く。



「静之くんと付き合う。彼氏彼女になる」

「……へぇ」



静之くんからの提案なのに、なぜかビックリしている彼。「軽い女って思われたかな」と、今更ながら後悔が襲う。

だけど、静之くんは全く違う事を考えていた。



「じゃあこれから、二人でイチャイチャし放題ってことか」

「へ?」

「だって夢の中って俺らしかいねーだろ?いわば、同居生活だ」

「!」

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