好きよりも、キスをして
すると簡単に、視界に静之くんを入れることが出来た。そして静之くんの姿を見た瞬間、
「(う、わぁぁ……)」
私の心臓が、大きく跳ね上がった。
なぜなら――
キリッと伸びた背中。美しく握られているシャーペン。そして、真っすぐに机の横にかけられた綺麗なカバン――
静之くんがキチンとした人なんだと、すぐに分かった。
だけど、彼の魅力は、そこだけで止まらなかった。
今まで黒板を見ていた静之くんは、私の熱い視線に気づいたのか、少しだけ頭を動かして私を見た。
すると、ぶつかる瞳と瞳。彼の瞳は黒色で、彼の髪の毛と、同じ色だった。
切れ長の瞳。通った鼻筋。そして形の良い唇――まさに「イケメン」と呼ぶにふさわしい美貌を持った男の子。
それが、静之くん。
「(やばい……カッコよすぎる……っ)」
頭の中が、一気に騒がしくなった。それは、良い意味でも、悪い意味でも。
静之くんがイケメンで素直に嬉しい。だけど……告白されて呑気に浮かれていたけど、あんなカッコいい人が私に告白っていうのは変だ。かなり変だ。
だって私は、可愛くもなければ美人でもないし、そして愛嬌があるわけでもないから。
というか、むしろ……