好きよりも、キスをして


チュンチュン



「……」



朝――無事に迎えられたことが、こんなに嬉しく思う日が来るなんて……。



「あっぶなかった……」



起きたばかりだというのに、この疲れ具合は異常すぎる……。静之くんをずっと押し返していた両腕は、既に筋肉痛だ。



「ってか……」



『お前のファーストキス、俺が貰うから』



なんで私がキス未経験って分かったんだろう……。そりゃ静之くんくらいカッコよかったら、今まで彼女の一人や二人いて当たり前だろうけど。ってか……私に彼氏がいたことないっていうのも、お見通しだったりして。



「静之くんに彼女かぁ……」



どういう人が彼女になるんだろう。それに、結局うやむやになったけど、静之くんが告白したかった相手って誰なんだろう。



「枝垂坂さんみたいな人……なのかな。やっぱり」



モヤッ


胸に少しだけ違和感を覚える。

だけど、その違和感の正体に気づかないままの私。「胸やけかな?」と、まだ寝ぼけた頭で、そんな事を考えた。



すると、その時――

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