好きよりも、キスをして
「(また仕返しと思って、俺の反応を楽しんでいるのか?それとも、本気で枝垂坂と一緒に帰ってほしくないって思ってる?)」
真意はわかりかねる。が、アイツの珍しい表情も見られたし。枝垂坂には悪いけど断るか――そう思っていた時だった。
「じゃあ、行こ!」
「(え、あ、おい!?)」
枝垂坂に腕を引っ張られて、力を入れてなかった俺は、いとも簡単に教室を出てしまった。枝垂坂と一緒に。
「(俺の返事も聞かずに……。枝垂坂って強引な女)」
それに、気になるのが澤田だ。
さっき教室を出る時に、澤田が俺の方を見ている気がした。いや、絶対見てるよな。枝垂坂に誘われた時に、真っ先にメールを送ってきたくらいだし。