惑溺幼馴染の拗らせた求愛
現場検証の立ち合いを終えると今度は警察署に移動し事情聴取を受ける。家の周りには街灯もなく薄暗かったため人相はよく分からなかったと、ありのままを答えた。
すべてが終わり解放された時には夜中の二時になっていた。
この状況では明日の営業はままならないと判断した栞里は店の入口に臨時休業の張り紙を貼った。
ガラスが割れ冷え込む居間に座り込み、四人はしばし放心した。
一番最初に動き出したのは、栞里に付き添っていたジローだった。
「ガラス屋には明日連絡するとして、とりあえず応急処置しとくか」
築四十年の断熱性の低い木造住宅な上に、ガラスまで割れていてはろくに寒さも防げない。ジローはガラスの破片を片付け、新聞紙とガムテープで割れた穴を塞いだ。寒さはいくらかマシになったが震えは止まらない。
もし、運悪く家の中で鉢合わせしていたらどうなっていただろう。
「しばらく二人とも俺のとこに泊まるか?」
ジローは当事者である栞里と麻里を気遣うように控えめに提案した。
ジローの住居は槙島スカイタワーの上層階の居住区エリアにある。セキュリティは言わずもがな万全だ。
「私はいいです。ここに残るんで。無人にしておいたらまた泥棒が入らないとも限らないし……」
「何言ってるの!!」
「何言ってんだ!!」
栞里と明音に同時に怒声を浴びせられ、麻里は困惑した。