惑溺幼馴染の拗らせた求愛
「鈴菜ちゃん、なににする?」
「ミックスサンドとコーヒー、イートインでお願いします」
「唐揚げも食べてく?おまけするよ」
「わー!!ありがとうございます!!沢渡さんちの唐揚げ大好き!!」
もちろん鈴菜は栞里とも旧知の仲だ。鈴菜は昔から栞里に餌付け……もとい可愛がってもらっている。
揚げたての唐揚げをおまけしてもらった鈴菜はトレーを持ってイートインスペースに移動した。買ったばかりのコーヒーとサンドウィッチを食べながらしばし立ち話をする。
「泥棒が入った家に女二人ってどうなの?危なくない?」
「あー…それは……。とりあえず大丈夫」
「明音くんが泊まりに来てくれてるもんね」
どうにか明音のことを隠そうとしたが、栞里が余計な合いの手を入れてきたせいで全て台無しになる。
お姉ちゃんの意地悪!!
明音の名前を聞くと鈴菜の表情が変わった。口いっぱいに頬張っていたサンドウィッチをごっくんと一気に飲み込んでいく。
「明音ってまさか槙島くんのこと?その話、詳しく聞きたいんですけど!!」
「鈴菜!!落ち着いてっ!!」
興奮する鈴菜を黙らせようと、しいっと指を唇に当てる。客がまだいないとはいえ、こちとら営業中だ。
結局、今夜飲みに行く約束を取り付けると、鈴菜は大人しく帰っていった。