惑溺幼馴染の拗らせた求愛
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「次の日曜、四人でデイキャンプに行かない?」
鈴菜は野菜の宅配ついでに麻里をキャンプへと誘った。SAWATARIで使う野菜は鈴菜の実家である小澤青果店から仕入れている。野菜ソムリエの資格も持つ鈴菜が珍しい野菜を仕入れてくると、一緒に調理方法を考えることもあった。
麻里は伝票に受領印を押しながら尋ねた。
「四人って……?」
「私でしょ、麻里でしょ、ドライバーの鷹也と……槙島くん」
鈴菜は指を折って丁寧に教えてくれた。
「鷹也に車出してもらって、山で美味しい肉を食らおうよー。野菜はうちの店から提供するからさー。折角の休みだしたまにはパーっと遊ぼうよ!!」
「私は構わないけど……」
「じゃあ、そういうことでよろしく。槙島くんもちゃんと誘っといてね。あ、鷹也の名前出せば絶対来ると思うから」
言いたいことだけ言い終えると、鈴菜は次の宅配先に向かって行った。まるでハムスターのように忙しない動きだった。
その日、SAWATARIの営業を終えた麻里が家に戻ると、既に明音は帰宅していた。麻里は鈴菜からの指令通り、キャンプの件を明音に伝えた。
「キャンプ?」
「他に予定があるならいいよ。三人で行くから」
「三人って?」
「私と鈴菜と鷹也」
鷹也の名前を聞くと、乗り気でなかった明音が俄然前のめりになった。
「……行くって返事しておいて」
「わ、わかった」
「ところで、キャンプって何を着ていけばいいんだ?」
明音のワードローブの中にアウトドアに適していそうなものはなかった。積極的に野外に遊びに行くタイプでもなさそうなので、当然と言えば当然か。
「一緒に買いに行く?」
次の日、麻里は最寄りのアウトドア用品店に明音を連れて行き、似合いそうな服をいくつか見繕ってやった。