惑溺幼馴染の拗らせた求愛
「我慢することないのに。いつもみたいに可愛い声を聞かせてくれ」
「も……バカッ……」
可愛い声なんて言われても恥じらいが増すばかりで褒められている気が全くしない。それが余計に明音の欲情を煽る結果となり、たっぷり一時間は身体を弄ばれる。
麻里は乱された衣服を整えると、ここぞとばかりに明音を罵った。
「明音の馬鹿!!」
「怒るなよ。自分だって乗り気になったくせに」
乗り気にさせた張本人は悪びれもしない。
すっかり日も暮れ、大きな窓からは美しい夜景が見えてくる。しかし、荷造りはちっとも進んでいない。酷い話だ。これではまた来週も荷造りを手伝う羽目になる。
「私は早く明音を家に連れて帰りたいだけなのに……」
明音は連日仕事の引き継ぎに追われ、しばらくこちらの部屋で寝泊まりしていた。寂しいに決まっている。何度押しかけようと思ったことか。
「寂しい思いをさせてごめん。これからはずっと一緒だ」
明音は麻里をその場に立たせると、床に膝をついた。
「麻里、俺と結婚してくれ」
ポケットから大粒のダイヤモンドがついた指輪が出てきて、麻里は悲鳴を上げそうになった。指輪なんていつの間に用意していたのだろう。
記念すべき十回目のプロポーズは槙島スカイタワーの最上階。キラキラと輝く夜景の見える最高のロケーション。麻里の返事は既に決まっている。
「喜んで!!」
麻里は明音に飛びつき、最愛を誓った。
もう二度とプロポーズを断ったりしない。
おわり