冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
プロローグ
五月十六日――暗雲が立ち込める大嵐の日。
羽田離発着のフライトが全便欠航になり、行き場を失った乗客たちでカフェは大混雑していた。
「ねぇ、隣の人すっごくかっこよくない?」
「わぁ~本当だ。彼女と一緒にいるのかな」
窓側の席の一角で未来の旦那様と向かい合わせに座っていた私は、隣から感じる熱視線にたじろぐ。
(って、全然気づいてない)
張本人はというと、手に持った契約書を瞬きひとつせず真剣な目で見つめている。
もちろん彼女たちの声など、まったく耳に届いていなさそうだ。
「すべて目を通した。最後に俺に伝えておきたいことはあるか?」
「えっ、いえ!」
その鋭い瞳にドキーン!と心臓が跳ね上がる。
彼は五十嵐駆さん――三十四歳。
私が客室乗務員として働く、日本最大手航空会社『サクラ日本ライン』の、最年少機長。
既に若手育成にも取り組んでいる我が社きっての、超エリートだ。
さらに顔面も国宝級でモデル体型。
そう――彼はレベチなハイスペック男子なのだが、とある理由で平凡な私と結婚する。
羽田離発着のフライトが全便欠航になり、行き場を失った乗客たちでカフェは大混雑していた。
「ねぇ、隣の人すっごくかっこよくない?」
「わぁ~本当だ。彼女と一緒にいるのかな」
窓側の席の一角で未来の旦那様と向かい合わせに座っていた私は、隣から感じる熱視線にたじろぐ。
(って、全然気づいてない)
張本人はというと、手に持った契約書を瞬きひとつせず真剣な目で見つめている。
もちろん彼女たちの声など、まったく耳に届いていなさそうだ。
「すべて目を通した。最後に俺に伝えておきたいことはあるか?」
「えっ、いえ!」
その鋭い瞳にドキーン!と心臓が跳ね上がる。
彼は五十嵐駆さん――三十四歳。
私が客室乗務員として働く、日本最大手航空会社『サクラ日本ライン』の、最年少機長。
既に若手育成にも取り組んでいる我が社きっての、超エリートだ。
さらに顔面も国宝級でモデル体型。
そう――彼はレベチなハイスペック男子なのだが、とある理由で平凡な私と結婚する。